【奈良の話】橿原市・畝傍山うろつ記(1)
畝傍山です。
香具山は 畝傍を愛しと 耳成と 相争ひき 神代より かくにあるらし 古も しかにあれこそ うつせみも 妻を争ふらしき
の、畝傍山です。
香具山の山頂から見た畝傍山です。↓
すごく・・・畝傍山です。
ちなみに上記の歌はこの畝傍山と香具山と耳成山という3つのお山(大和三山)を男女関係に見立てて三角関係の恋慕をうたっています。
祖先、1300年前に山を擬人化してた。
さてその畝傍山のまわりを数年ぶりにうろついてきました。
コースと位置関係はこういう感じ。
赤線の道ぐるっと6kmくらい。
この界隈それなりに広いです。
実は色々おもしろい畝傍山周辺。
何回かに分けてほんのちょいとご紹介します。
第1回目は神武天皇陵。
その名の通り被葬者は神武天皇と伝わります。
さて神武天皇とは?
古事記・日本書紀の記紀神話によると、はるばる宮崎から海を渡って大阪へ上陸するも大和(奈良)への入国は一度失敗する事に成功。
その失敗を活かし、やはり神たる陽光の射す東に向かって攻め入ったのがすごく良くなかったと独自の教訓を生み出す事に成功。
二度目は大阪から南下し和歌山へすごい迂回をして大和国を目指す。
その様にして東(太陽)を背にすべく伊勢方面から峠を豆腐を崩さない安定したドリフトで攻めのぼり、すごい熊のすごい神力にはすごい神々のすごいご加護によってすごい窮地を脱し大和国でのすごい地元住民のすごい抵抗の際にはすごい金色の鳶がすごいタイミングで現れそのすごい神力ですごく大和を平定したとすごい伝聞力で今に伝わるすごいアクティブエンペラー。(すごい弓上手)
神話ではざっくりこの様な感じです。
記紀神話の数ある物語の中でも「すごい」部分が特に強調されている登場人物です。
天照大御神でさえ怖がって逃げた様子や、数多の神々の過ちや敗走などが描写がされる記紀の中で、神武天皇(カムヤマトイワレヒコ)が災難に遭いながらも無条件に天恵を授かるほぼ完全なるチートキャラとして120年以上生きた事にすらなっているのはおそらく編纂当時の国策による作為的なものですが、人智を超えた大きなものへの畏敬を示す象徴の1つとしては現在でも重要なポジションにあるかと思います。
個人的にはこの畏敬の念とは、知ったような物言いで恐縮ですが「人とは愚かであると知りながらしかし人とは愚かに成り果ててはならない」といった、温故知新によって身の程を知るといった意味合いの代表格の様なイメージがあります。
さて今年は神武さん二千六百年大祭との事で何かと盛り上がっておりますが、橿原神宮には何度も行ったけどこちらには参られた事が無いという方も意外と居らっしゃるのではないでしょうか。(神宮から少し離れていますし)
県道161号線に面した入口から御陵の敷地に入り、
ドラクエの無限廻廊を思わせる砂利道を行き、
え?
まだ?
まだなん?
と思い始めた頃に・・・
見えてきます。
こちらが神武天皇陵。
三本足の鴉や金色の鳶など、極めて鳥類に愛された、鳥羽天皇以上の鳥っぽさが今に伝わる初代天皇の御陵です。(世が世ならもうこのブログ完全に不敬罪なので現代で助かりました。)
入口では西向きで入場しますが、ほぼ90度のカーブを描く無限廻廊で気が付けば北向きに御陵を拝む形になります。(なので方向感覚が若干くるいます。)
ちなみにこの日は特に何かの日という訳でも無かったのと、まだ寒い休日の午前中でもあったので誰も居ませんでした。見張所の人も・・・。(このゆるさが奈良たる所以)
こちらが混雑するという事はほぼ無いと思うので、歴史ロマンをおおらかに辿る旅などにはおすすめしたい史跡の1つです。
ただ御陵の半径1kmほどお店などは無いのでご注意ください。
ところでマップ化して気付いたのですが、神武陵を中心に立ち入り禁止エリアがほぼ一定の半径で保たれていますね。
御陵周囲の灰色のエリアはこの地図上では何も無い様に見えますが、実際には2mほどの頑丈な柵で囲まれており、立ち入るのにためらう程度の煩雑な雑木林となっていて地続きの平地でありながら侵入できない様にしているのが見て取れます。
雑木林は御陵を中心に半径50~100mくらいはあるでしょうか。
周囲の道路はバイパスも近く大きな交差点もあるため交通量は多いのですが、この不可侵エリアが広く取ってあるため御陵の遥拝所は切り取った様に静寂で、新雪の早朝に似た緊張感を含む清浄な空気を感じます。
張りつめてはいるけど苦痛では無いという感じで、あえて言うなら伊勢神宮と似た空気感かもしれません。
ちょっと他の寺社などにも無い空気感ですね。
人らしさや人としての暖かみといった感受性の部分をより深く求める方にとってはもしかしたら合わないと感じられる事もあるかもしれませんが、こればかりは行ってみない事には分からないなという所です。
橿原神宮にご参詣の際は足を伸ばしてみてはいかがでしょうか(^^)
そしてここに訪れたならば、
参道の左手側に現れる階段にぜひ括目せよ。
この道を行けばどうなる?
迷わず行けよ。
行けば分かるさ。